西国二十九番 馬頭観音坐像(ばとうかんのんざぞう)

棒道の石仏-地元の人々が地域や旅人の安寧を祈って建立した小さな観音霊場

江戸時代末期に、棒道を行く旅人や商人の道標として安置された石仏群の一つ。
西国三十三所・坂東三十三所になぞらえた観音像であり、現在も39体残されています。江戸時代に全国で流行した、観音霊場を模したもの(写し霊場)で、巡拝すると札所巡りと同等の功徳が積めると考えられています。
この石仏と対応する札所は青葉山松尾寺(京都府)で、本尊は棒道と同様に馬頭観音です。

棒道の石仏では唯一の馬頭観音。頭上に馬面を載せて憤怒の相を浮かべ、畜生道から衆生を救う観音です。一般庶民は農耕や運搬、財産など馬からの恩恵を受けることが多いため、馬の病気や道中安全を祈願するために、馬頭観音碑を道沿いに建てる信仰が東日本で広まりました。棒道の馬頭観音は、一般的なものと比べ優しい表情なのが特徴的です。富蔵山公園に安置されている馬頭観音と見比べると、その差がよく分かります。
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・棒道の石仏の見どころ:顔の表現に力を入れるためか、頭が大きめなのが棒道の石仏の特徴。また、細かい加工がしやすく黒っぽい石である安山岩や玄武岩といった、八ヶ岳の火成岩を用いて作られています。光背(仏像の後ろに付ける、仏身から放たれる光を象った装飾)の形も、自然な石の形をそのまま見立てたもの、石に彫り込んだものなど様々です。一つ一つの表情、造形、石材の様子、ノミ跡といった細部を見比べながら歩くとより楽しめます。また、花や食物が供えられているなど、地域で大切にされていることが伺えます。

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