西国二十八番 聖観音立像(しょうかんのんりゅうぞう)

棒道の石仏-地元の人々が地域や旅人の安寧を祈って建立した小さな観音霊場

江戸時代末期に、棒道を行く旅人や商人の道標として安置された石仏群の一つ。
西国三十三所・坂東三十三所になぞらえた観音像であり、現在も39体残されています。江戸時代に全国で流行した、観音霊場を模したもの(写し霊場)で、巡拝すると札所巡りと同等の功徳が積めると考えられています。
この石仏と対応する札所は成相山成相寺(京都府)で、本尊は棒道と同様に聖観音です。

衣を跳ね上げるような表現は棒道の石仏の特徴。

変身した観音と区別するため、変身していない本来の姿を聖観音と呼びます。一面で腕が二本の姿です。
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・こて絵:西国二十八番から二十七番の間は、左手の民家の向こうに八ヶ岳を望めます。また、ここから小荒間番所跡のあたりまで、近隣の民家の壁面に、えびす様、家紋、「寿」の字などを象ったレリーフが見られます。これは漆喰で作る「こて絵」と呼ばれるものです。表面を塗装するのではなく、顔料を混ぜ込んだ漆喰で作るため色あせにくいのが特徴です。北杜市の民家に見られますが、現在、「こて絵」の作成・修復ができる職人は限られており、大変貴重なものとなっています。
・棒道の石仏の見どころ:顔の表現に力を入れるためか、頭が大きめなのが棒道の石仏の特徴。また、細かい加工がしやすく黒っぽい石である安山岩や玄武岩といった、八ヶ岳の火成岩を用いて作られています。光背(仏像の後ろに付ける、仏身から放たれる光を象った装飾)の形も、自然な石の形をそのまま見立てたもの、石に彫り込んだものなど様々です。一つ一つの表情、造形、石材の様子、ノミ跡といった細部を見比べながら歩くとより楽しめます。また、花や食物が供えられているなど、地域で大切にされていることが伺えます。

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