坂東十一番 聖観音立像(しょうかんのんりゅうぞう)

棒道の石仏-地元の人々が地域や旅人の安寧を祈って建立した小さな観音霊場

江戸時代末期に、棒道を行く旅人や商人の道標として安置された石仏群の一つ。
西国三十三所・坂東三十三所になぞらえた観音像であり、現在も39体残されています。江戸時代に全国で流行した、観音霊場を模したもの(写し霊場)で、巡拝すると札所巡りと同等の功徳が積めると考えられています。
この石仏と対応する札所は岩殿山安楽寺(埼玉県)で、本尊は棒道と同様に聖観音です。

表面が緑色になっているのは、岩石中の銅成分が染み出して表面に緑青が付いているためです。

「のちの世の 道を比企見の 観世音 此の世を共に 助け給えや」という御詠歌(参拝時に詠うとご利益が高まる和歌)が刻まれています。

変身した観音と区別するため、変身していない本来の姿を聖観音と呼びます。一面で腕が二本の姿です。
もっと知りたい
・ほろよい小道:ここからしばらく北西に向かって歩いていくと、道の分岐が現れます。右に折れる道は、「ほろよい小道」と呼ばれます。かつてゴルフ場の隣にウイスキーの熟成用保存庫があったため、この道を歩く人はその香りでほろよいになったといいます。
・棒道の石仏の見どころ:顔の表現に力を入れるためか、頭が大きめなのが棒道の石仏の特徴。また、細かい加工がしやすく黒っぽい石である安山岩や玄武岩といった、八ヶ岳の火成岩を用いて作られています。光背(仏像の後ろに付ける、仏身から放たれる光を象った装飾)の形も、自然な石の形をそのまま見立てたもの、石に彫り込んだものなど様々です。一つ一つの表情、造形、石材の様子、ノミ跡といった細部を見比べながら歩くとより楽しめます。また、花や食物が供えられているなど、地域で大切にされていることが伺えます。

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