西国九番 不空羂索観音坐像(ふくうけんじゃくかんのんざぞう)

棒道の石仏-地元の人々が地域や旅人の安寧を祈って建立した小さな観音霊場

江戸時代末期に、棒道を行く旅人や商人の道標として安置された石仏群の一つ。
西国三十三所・坂東三十三所になぞらえた観音像であり、現在も39体残されています。江戸時代に全国で流行した、観音霊場を模したもの(写し霊場)で、巡拝すると札所巡りと同等の功徳が積めると考えられています。
この石仏と対応する札所は興福寺(奈良県)で、本尊は棒道と同様に不空羂索観音です。

西国八番のすぐとなりに安置されています。割れ目があり、破損した原因は凍害(石中の水分の凍結、膨張による害)ではないかと考えられます。

棒道の石仏では唯一の不空羂索観音です。不空羂索観音は、大慈悲の心から煩悩に苦しむ衆生を羂索(投げ縄)によってもれなく救い取る仏です。一般に多くの腕を持ち、シカ皮をまとい縄を持った姿に造形されています。棒道の石仏では唯一の不空羂索観音です。
もっと知りたい
・棒道の石仏の見どころ:顔の表現に力を入れるためか、頭が大きめなのが棒道の石仏の特徴。また、細かい加工がしやすく黒っぽい石である安山岩や玄武岩といった、八ヶ岳の火成岩を用いて作られています。光背(仏像の後ろに付ける、仏身から放たれる光を象った装飾)の形も、自然な石の形をそのまま見立てたもの、石に彫り込んだものなど様々です。一つ一つの表情、造形、石材の様子、ノミ跡といった細部を見比べながら歩くとより楽しめます。また、花や食物が供えられているなど、地域で大切にされていることが伺えます。

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