女取湧水(めとりゆうすい)

悲しき伝説を秘めた湧水

八ヶ岳南麓高原湧水群の一つ。古くから灌漑用水として利用され、現在も長坂町の水道水の相当部分を賄っている重要な水源です。
「女取」という名称の由来として、女性と蛇にまつわる伝承が残っています。一説には、青年・八造が、誠実の証として身分違いの恋人に巾着を渡そうとしたところ、道中で溺死。それを知った青年の母・おかよは、息子の恋人を恨み、息子が死んだ川に身を投げ、若い娘を取り殺す蛇となった。また一説には、幼い少女・小夜が水に落とした巾着を拾おうとしてところ、竜神によって水の中へ引き込まれた。いずれも、「女を取る川」であることから、女取と名付けられたということです。
もっと知りたい
・堰(せぎ):農業用水路のことを指します。湧水から伸びる堰は、棒道沿いでも見られます。坂東二番の石仏付近は、棒道沿いに女取湧水からの堰が流れています。三分一湧水付近から西国十九番の石仏付近の堰は、ところどころに下り口が設けられており、野菜などを洗えます。湧水が生活に密着している様子が見て取れます。
・長坂三ヶ区の札番・水番制度(山梨県指定無形文化財):水争いを解決するための工夫として、三分一・八右衛門出口・女取湧水の下流にある長坂上条、長坂下条、渋沢の旧長坂町の3集落(三ヶ区)では、三つの湧水と堰の点検・清掃を地域の当番制で行う仕組みが、江戸時代から現在まで続けられています。点検時に当番が札を入れかえ、点検済みであることを示す「札所」は、各湧水の近くで見ることができます。

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