七里岩の突端にある寺

八ヶ岳から甲府盆地に向かってくさびを打ち込むかのように伸びる七里岩、飛び出す絵本にしたらさぞ面白いことでしょう。そんな七里岩の先端に、今から555年以上前の室町時代の1464(寛正5)年に開かれたお寺です。最初はかの弘法大師空海の真言宗の道場として作られ、江戸時代の初め頃に現在の曹洞宗になりました。
弘法大師とのゆかりを伝えるところも多くあります。山号ともなっている「佛窟山」の名にふさわしく、七里岩の中腹の洞窟には聖観世音菩薩、弘法大師御尊体が安置されています。そして、もっとも目と心が奪われるのは「千体仏」です。参拝者と目が合う仏様が少なくとも一尊はいらっしゃるといわれます。
この寺は、地元で「窟観音(あなかんのん)」と地域から親しみをこめて呼ばれ、毎年3月の春分の日には二日間にわたりお祭りがおこなわれます。その祭りは、稚児行列があり、お化粧をして晴れ着を着た地域の子どもたちのにこやかな姿と、その姿を愛おしそうに眺める家族たちの姿に出会うことができる、なんとも心が温かくなる祭りです。もちろん、屋台でにぎわう境内も楽しめます。
もっと知りたい
七里岩(しちりいわ):七里岩は「しちりいわ」と読むのですが、「しちりがいわ」と呼ぶ方も多いようです。どちらか正しいのかは分かりませんが、それよりもぜひ、七里岩そのものの魅力を見てください。
 まずは、溶岩と勘違いしている方も多いですが、これは八ヶ岳が崩壊してできたもので、溶岩とは違います。学術的にいうと韮崎岩屑流と呼ばれるもので、崩れた後に塩川と釜無川がせっせと削り出し、今の形になったのです。自然が作り出した彫刻といえるでしょう。この風景は全国的に見ても世界的に見ても珍しいものです。崖の上と下では40~100メートルも高さが違う、まさに断崖絶壁。それが蔦木(長野県)から韮崎まで約30キロメートルも続くのです。30キロメートルといえば、七里。名前の由来も分かっていただけたのではないでしょうか。
雲岸寺の観音堂の参拝時に、七里岩を堀り抜いた部分のゴツゴツした壁を観察すると、岩屑流の意味が体感できて面白いはずです。

御朱印もらえます

※情報は制作時のものであるため、実際の訪問の際には事前にご確認ください。

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