横山の道標(よこやまのみちしるべ)

旅人たちを見守る江戸時代の道標

江戸時代から甲州台ヶ原宿に現存する唯一の道標。3体並んだ馬頭観音は甲斐駒ヶ岳の白い花崗岩で作られたもので、正面は個人造立の馬頭観音、両脇にあるのが道標です。
一つは側面に「右 かうふ道 左はらぢ道」と刻まれ、もう一つは「左りはらみち」と刻まれています。「かうふ道」とは甲州街道を指し、「はらぢ道」「はらみち」は「原路(はらじ)」を指します。「原路」とは、韮崎宿~蔦木宿間の甲州街道が水害で通行止めになった際の代替ルートです。
かつては、韮崎宿方面から甲州街道を進み、尾白川を渡った地点にある河路と原路の分岐に設置されていました。現在はそこに、「甲州街道 古道入口 はらじ道」と刻まれた新しい道標が立っています。
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原路(はらじ):釜無川、尾白川、濁川などが氾濫して橋梁が落ち、甲州街道が利用できない時は、台地上にある脇往還を利用しました。この道を、川沿いにある基幹道「河路(かわじ)」に対し、「原路(はらじ)」と呼びます。韮崎宿から新府城の下を過ぎ、穴山村を経て日野原で逸見路の古道と合流し、花水橋を渡り台ヶ原宿に至る道筋と、日野原から渋沢・小淵沢を経て蔦木宿に至る道筋があります。河路が通行できない時以外にも、諏訪の中馬は日常的に原路を利用していました。
馬頭観音(ばとうかんのん):頭上に馬面を載せて憤怒の相を浮かべ、畜生道から衆生を救う観音です。一般庶民は農耕や運搬、財産など馬からの恩恵を受けることが多いため、馬の病気や道中安全を祈願するために、馬頭観音碑を道沿いに建てる信仰が東日本で広まりました。

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