富士山信仰の水行の場の一つ

1万3640㎡の小ぶりな湖沼。湖には約2万株の蓮が群生しているため「蓮池」とも呼ばれており、蓮の花の見ごろとなる8月には多くの人で賑わいます。
明見湖は富士講の開祖とされる長谷川角行(かくぎょう)の水行の地だったと伝えられ、富士信仰の垢離場(こりば・禊の場所)、内八海の一つに数えられていました。内八海は、現在の富士五湖(山中湖、河口湖、西湖、精進湖、本栖湖)に、明見湖、四尾連湖、泉端(駿河の浮島沼を数えることも)を加えた8つの水場を指し、これらを巡拝する内八海巡(うちはっかいめぐり)という修行が富士講信者によって行われていました。1泊から2泊の行程で、富士山への登拝の後に行われることが多かったようです。
2007(平成19)年には周辺が整備され、明見湖公園が完成。自然観察や体験学習ができる市民の憩いの場となっています。
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・巡拝行:内八海巡のように巡る修行のことを巡拝行という。現在、富士山頂を巡ることを「お鉢巡り」と呼ぶが、かつては、大日如来が座す噴火口を中心に、八尊の仏が座す山頂の峰々を巡る修行という意味で「御八葉巡(おはちようめぐり)」と呼ばれていた。このほか、富士山の中腹を周回する「御中渡」、忍野八海の八つの池を巡る「元八湖巡」、全国の水場を巡る「外八海巡」がある。外八海は、芦ノ湖(神奈川)、桜ヶ池(静岡)、二見浦(三重)、琵琶湖(滋賀)、諏訪湖(長野)、榛名湖(群馬)、中禅寺湖(栃木)、霞ヶ浦(茨城)とされている。
・小明見村と富士山:江戸時代、小明見村は富士山五合目と山頂に山小屋を所有していた。山頂の山小屋にあった守護仏は、富士山内で最も古い仏像として、現在も大切にされている。葛飾北斎の『富嶽百景』でも、「阿須見村の不二」(あすみむらのふじ)として取り上げられており、小明見村と富士山との強い結びつきがあったことがうかがえる。

〈参考資料〉
「富士八海を巡る」(山梨県立富士山世界遺産センター 令和3年度夏企画展リーフレット)
https://www.fujisan-whc.jp/archive/documents/r3ikakuten1-leaflet.pdf
「富士参詣の道を往く-富士山道」
https://www.pref.yamanashi.jp/fujisan/documents/publicity_materials/documents/fujisanmichi-omote.pdf
「富士参詣の道を往く-御内八海」
https://www.pref.yamanashi.jp/fujisan/documents/publicity_materials/documents/zentaiban-omote.pdf
『富士講のヒミツ』(ふじさんミュージアム、2015)

〈参考サイト〉
富士山ネット
https://www.fujisan-net.jp/post_detail/2000123
富士吉田市観光ガイド
https://fujiyoshida.net/spot/30

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