山梨岡神社(やまなしおかじんじゃ)

山梨県の名の由来とされる古社

927(延長5)年に成立した『延喜式神名帖』に、物部神社、甲斐奈神社と並んで掲載される式内社で、創建は崇神天皇代(一説に3世紀後半)と伝わります。成務天皇代(一説に4世紀中頃)、ヤマナシの群生林を切り開いて現在の場所に移され、「山梨岡神社」と名付けられました。このことがこの地域の地名である「山梨郡」、さらには「山梨県」の由来ともいわれています。
本殿は室町時代末期、飛騨の匠によって作られました。様式は隅木入り春日造、屋根は簡素なこけら葺きで、1907(明治40)年に国の重要文化財に指定されました。古くは「山梨明神」と呼ばれ、武田家代々の祈願所として栄えました。武田信玄による社参状や1544(天文13)年の禁制札の写しなどが今も残されています。
この神社に伝わる「太々神楽」は古事記神話を表現した出雲神楽の系統で、信玄が出陣に際して奉納し、戦勝を祈願したとされています。舞は24種類あり、中でも4人の舞人が剣を片手に勇壮に舞う「久米舞」が有名です。太々神楽は山梨県の無形民俗文化財に指定されており、毎年4月4・5日に行われる春の例大祭で奉納されています。
境内の藤の古木は笛吹市の天然記念物に指定されており、5月上旬に長さ60cmほどの美しい紫色の花を咲かせます。
社殿の背後に立つ御室山(みむろやま)の山肌が美しい神社です。少し距離がありますが、国道沿いから真っ直ぐな参道を通っての参拝をおすすめします。
もっと知りたい
延喜式神名帖:『延喜式』は平安時代中期、927(延長5)年に出された法制書です。このうち全国の神社とその祭神を紹介している巻九・巻十は『延喜式神名帳(えんぎしきじんみょうちょう)』と呼ばれており、全国の古代神社史の基礎史料となっています。

山梨岡神社の「キノカミ」:キノカミとは全国で唯一、山梨岡神社だけが祀っている神の木像です(通常非公開)。牛のような体で角はなく、一本足の異形の神で、そのご利益は雷除けや魔除けとされ、江戸時代にはその姿を神札にして江戸城大奥に献上したといわれています。

<参考資料>
『やまなしのお寺と神社』

<参考サイト>
富士の国やまなし観光ネット「山梨岡神社」
https://www.yamanashi-kankou.jp/kankou/spot/p1_3463.html
笛吹市「山梨岡神社本殿」
https://www.city.fuefuki.yamanashi.jp/shisetsu/bunkazaihoka/007.html
笛吹市「山梨岡神社太々神楽」
https://www.city.fuefuki.yamanashi.jp/shisetsu/bunkazaihoka/008.html
ふえふき観光ナビ「山梨岡神社」
http://www.fuefuki-kanko.jp/detail/index_264.html
文化遺産オンライン「延喜式神名帳」
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/358464

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