向嶽寺の門前で賑わった温泉郷

塩ノ山(しおのやま)の東南麓に位置する温泉郷で、1380(康暦2)年に向嶽寺を開いた抜隊得勝(ばっすいとくしょう)が発見したといわれています。
1724(享保9)年の『上於曽村村鑑明細帳』によると、向嶽寺の門前には16軒の湯宿があり、入浴客は年間1万人を超えていました。大菩薩峠を越えて訪れる湯治客も多かったといいます。
かつて門前は向嶽寺が取り仕切っており、温泉場における出来事はすべて向嶽寺に届けられて処理されたほか、各宿の湯宿銭も向嶽寺の許可を得て定められていました。
明治時代に入ると、温泉の経営は向嶽寺から民間に移りました。1903(明治36)年に鉄道が開通すると、鉄道を利用した旅行客の来訪と、商業的な輸送の集積地でもあった塩山駅周辺の活況により、塩山温泉には多くの人々が行き交いました。現在、塩山温泉では5軒の温泉宿が営業しており、1903(明治36)年創業の廣友館(こうゆうかん)と中村屋旅館の建物は、往時の面影を今に伝えています。また塩山駅のやや西、中央通商店街を抜けて塩山温泉に向かう道中には、鉄道開業以降に形成された、独特の細長い地割が残ります。
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<参考資料>
『甲州市歴史的風致維持向上計画』

<参考サイト>
ぐるり甲州市「温泉・宿泊」
https://www.koshu-kankou.jp/spa-stay.html

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