西国二十四番 千手観音立像(せんじゅかんのんりゅうぞう)

棒道の石仏-地元の人々が地域や旅人の安寧を祈って建立した小さな観音霊場

江戸時代末期に、棒道を行く旅人や商人の道標として安置された石仏群の一つ。
西国三十三所・坂東三十三所になぞらえた観音像であり、現在も39体残されています。江戸時代に全国で流行した、観音霊場を模したもの(写し霊場)で、巡拝すると札所巡りと同等の功徳が積めると考えられています。
この石仏と対応する札所は紫雲山中山寺(兵庫県)で、本尊は棒道と異なり十一面観音です。

衣を跳ね上げるような表現は棒道の石仏の特徴。富蔵山公園の奥、馬頭観音群とともに安置されています。腕が七対あるのが棒道の石仏です。

千手観音は正式には千手千眼観世音菩薩(せんじゅせんげんかんぜおんぼさつ)といい、観音菩薩があまねくすべての衆生を救うため、それぞれの掌に目のついた千本の手を得た姿です。仏像として表される際には手の本数を省略して表現することが多く、棒道の石仏も例外ではありません。
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・棒道の石仏の見どころ:顔の表現に力を入れるためか、頭が大きめなのが棒道の石仏の特徴。また、細かい加工がしやすく黒っぽい石である安山岩や玄武岩といった、八ヶ岳の火成岩を用いて作られています。光背(仏像の後ろに付ける、仏身から放たれる光を象った装飾)の形も、自然な石の形をそのまま見立てたもの、石に彫り込んだものなど様々です。一つ一つの表情、造形、石材の様子、ノミ跡といった細部を見比べながら歩くとより楽しめます。また、花や食物が供えられているなど、地域で大切にされていることが伺えます。

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