往時の面影を残す風流な宿
大阪屋と並んで赤沢宿の草分け的在とされる宿で、現在も旅館として営業を続けています。建物の1階部分は天保年間に建てられたもの、2階部分は明治初期に増築されたもので、講中宿の伝統的な宿の様式を残しているのが特徴です。1階には大勢の宿泊客が一斉に草鞋を脱げるよう、「周り土間」と呼ばれるL字型の縁側が設けられており、軒下には「板マネギ」と呼ばれる講中札(講の名称、在所名、個人名などが記された札)がたくさん掛けられています。赤沢宿で最古の板マネギとされる1875(明治8)年の「妙法講」の札も江戸屋旅館に残されています。また客間の天井にも紙の講中札がたくさん貼られており、ありし日の賑わいを伝えています。